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散歩の途次北野天満宮の刀剣展を再訪しました。地方作の奉納刀の中に巨大な脇指があり、「銘・従四位下行予陽州太守兼隠州刺史松平姓源定長 奉寄進」とありました。
予陽は伊予の南で松山、刺史は国司の唐名ですから松山十五万石の藩主松平隠岐守定長(1640-74)の奉納刀です。 伊予松平家は源氏ですが、旧姓は久松氏で菅原氏を先祖としていますので家紋に梅花文があり天満宮の信仰も篤い藩でした。
奉納用の刃幅が広い巨大な脇指には宮城県松島町の瑞巌寺に江戸の大和守安定と弟子の合作という「巨刀」(明暦元年1655年銘)があります。仙台東照宮にも安定同年の作が奉納され、こちらは仙台市博物館の所蔵です。平成四年の仙台市博物館の瑞巌寺展図録の解説によるとこの二振は「奉納用として刃をつけず、刀装も目釘を使わない形式的なもの」だそうです。
北野天満宮の奉納脇指は刀匠名がありませんが、或いは藩主自らの作刀でしょうか?
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