2007年10月13日 第7回出題「備州長船法光」


 今回は、長禄年紀のある「長船法光」でした。

 個銘当たりは無く、「長船盛光」に入札された方々がほとんどでした。

 戦国時代に入る応仁以降を末備前と、それ以前を応永備前と区別しますが、その間に寛正備前とか永享備前とか言われる、応永備前の作風を受け継ぎながら作風の少し異なる時代区分をする時期があります。

 今回の出題刀がまさにその時代のものであり、「則光、祐光、盛重等」の代表工がおります。
 応永備前より地鉄が一段と強く、刃文の腰の開いた五ノ目が更に目立ち、帽子が応永備前のように尖らず小丸に尋常に返るのが、応永備前との大まかな相違点であります。

 また、末備前の勝光や祐定などよりも、少し古びた感じの刃文を焼くのも特徴の一つに挙げられます。
 更に付け加えますと、応永の盛光や康光などに比べて、平肉の着いたもので二尺を少し越えた体配のものもあり、太刀から打刀に変わる過渡期を反映しています。

 就中、この頃の初期作には太刀銘が多く、文明に差し掛かった頃から寸の詰まった打刀が数の上で多くなることをご承知ください。

 竹屋流鑑定の要訣として、「実際に寛正頃の備前の刀を拝見するに、応永備前に比べて反りが深く、先反りが強く付き平肉が厚く感じるとともに、五ノ目丁子の匂口が締まる感じがする。」ということ。

 蛇足ではありますが、この頃の短刀は出題刀のような刃文で無反りもの(応永備前に比べて寸が短め)があることもご記憶をして頂ければ、更に刀剣鑑定に幅が増すことと存じ上げます。

 竹屋主人


 『追伸』

 鑑定倶楽部にご参加の皆さん、毎回入札有難うございます。
 今年の2007大刀剣市で、一尺九寸台の太刀拵え付きで、刀銘の「法光」が某店に有りました事をご記憶でしょうか?
 太刀から打刀へ移行する特徴が、良く出ておりました。