2008年6月30日 第4回出題「越後守国


 今回の出題刀は、堀川国広門の「越後守国儔」でした。
 今回は一ノ札で、「当」以外の札が多数御座いましたので紹介いたします。
 先ずは同然札では「堀川国広」、「親国定」、その他では「坂倉言之進照包」、「一竿子忠綱」、「大和守安定」などですが、特に「大和守安定」は江戸新刀ながら美濃気質を色濃く残す刀工であり、頷ける札と思います。

 「越後守国儔」は「堀川国広」の甥で、日州飫肥の出身であると言われておりますが、私の資料によれば、
「越後守国儔」は「堀川国広家系図」には無く、日州飫肥の出身でもないと記述されております。
 「国広」の堀川定住後の門人であり、また上京の時期や任官の時期・没年が何時であるのか詳らかではなく、未だに製作年紀のある作品は発見されていません。
 とにかく、謎の多い刀工であることは確かであります。

 「越後守国儔」は堀川門下でも異色の刀工であり、一門の多くが相州伝上工、とりわけ「志津」などを狙った作品が多い中で、ゆるやかなのたれに五ノ目を交えた刃文を焼き、地がねは、鍛錬が細やかで、末関、とりわけ
「和泉守兼定(ノ定)」や「兼常の上作」をあたりを狙ったと思われる、独特な作風のものが残されております。

 「堀川国広」の末弟である、「親国貞」や「初代国助」の初期作に「越後守国儔」の作風や、銘字の書風も近似してしていることから、両者の実質的な指導者であると言われております。
 どのように作風が似ているかと申しますと、刃文の匂口が沈み地味な浅い湾刃や「出羽大掾国路」などに見られる三品帽子も「国儔」や「親国貞」に見られます。

 ここで竹屋流鑑定要訣をひとつ、「焼き出しを焼き込む手癖は国広以外には、国安と国儔に多い。」ということをご記憶下さい。
 刀剣鑑定の幅が広がると思います。

 それでは次回の出題をお楽しみに        
                             竹屋主人